2010年4月2日金曜日

スマートフォン戦国時代。もうひとつの戦い。

昨日(4/1)、ドコモからAndroidを搭載したソニーエリクソンの
スマートフォン「Xperia」が発売されました。

前評判がとても良く、コミュニティやTwitterを使った話題づくりや
タッチ&トライのイベントなども盛り上がっていました。

Xperia FAN

Xperia on Twitter


しかしながら、私も某電機店で実機を触ってみましたが、インターフェイスや
操作性にクセがあり、さっそくユーザーからコミュニティやTwitter上でユーザーの意見がたくさん出てきています。

もちろん、このようなユーザーの声は出てきてしかるべきものですし、
ユーザー同士がソーシャルメディアで会話をすることで、企業がサポート
しきれていないような疑問は解決されていくということも特筆すべきことです。
ただし、もし本当に欠陥があった時に企業がその声を受け止めて対応しなければ
ブランドを傷つけることにもなります。

今回のキャンペーンではユーザーの声をドコモやソニーエリクソンが
これからどう活かしていくのか注目したいところです。


そのころ一方。


auがスマートフォン(?)を3月30日に発表しました。
実は筆者はauユーザーなので、とても期待していました。
「Nexus One*が出るのではないか」と。
*Googleが発表しているAndroidスマートフォン


というのも、巨大ブログGigazineでこのような記事が出ていたからです。

auにGoogle製のハイエンドスマートフォン「Nexus One」が登場する可能性が浮上(3/15)

いよいよauのAndroidスマートフォンがお目見えか、KDDIがGoogleと新商品発表会を実施へ(3/19)


Nexus Oneの性能はiPhone3GSを上回るといわれており、もしauから発売されるのならばiPhoneを解約し、Nexus Oneに統一できるかもしれないという目論見だったのですが、実際に発表された機種は「2台目需要」を
ターゲットにした不思議な形の「スマートブック」でした orz



期待をしていたユーザーは他にもいて、下記のように述べています。

auのAndroid端末 IS01にガッカリorz



ユーザーの期待値を高めるという意味ではドコモは意図的に、
auは計画外で成功していましたが、auの場合は期待感が裏目に
出てしまったように感じられます。

なお、ソフトバンクはXperiaの発売に「ほぼNexus One」と言われている
最新のAndroid OS 2.1を搭載した「HTC Desire」の発表を重ねてきました。
(XperiaやauのスマートブックのOSはAndroid1.6)

auは秋頃に「1台目需要」にも耐えうるスマートフォンを
発表予定といわれています。

各社ともプロダクト戦略やマーケティング、広報それぞれに
思惑が感じられます。

いずれにせよ、SNSやTwitter、ブログで語られるユーザーの声を聞き、
いざという時には対応していくことがこれからの広報の重要な役割なのでは
ないかと考えさせられるスマートフォン戦国時代です。

2010年3月1日月曜日

Never mind the "SMM"

今回はリアル「つぶやき」のようなものです。

ソーシャルメディア、ソーシャルメディアマーケティング(SMM)という言葉に最近違和感を感じます。
言葉を中心に議論が展開されていくのはそれはそれで良いのですが、どうもその議論が好きになれない。

小生は思います。「ソーシャルメディア」というのは畢竟「人」であり「社会」そのものなのだと。
もちろん、そこに「技術」が加わって初めてソーシャル+メディアになるのですが、
技術や戦略、市場規模や顧客対話の価値、Do's and Don's…議論されていることになぜ
「人」が入ってこないのかなぁ。「人」じゃなくて「ブロガー」「顧客」になっている。

マーケティング、パブリックリレーションズを生業とするものとして思うのは、
ソーシャルメディア自体に価値があるのではなくて、ソーシャルメディアに価値を提供することが新たな価値を生む、ということ。
相手に何かを期待するのであれば、その期待に応えてもらえるように工夫する、それができるのがマーケターなのでは。
(相手のことは調べてよくわかっているわけで)

あまちゃんか知れませんが、企業のマーケティングだって「どうやって人を楽しませようか」というポジティブなアイデア・企画があって、それを実行することでより「人」が注目してくれる、好きになってくれる、あわよくば製品やサービスを理解し、購入し、ファンになってくれるものなのでは? と自分が若かりし頃に夢見ていたマーケティング幻想を思い返しました。でもそれがゼロのマーケティングなんて価値ありますか?


ソーシャルメディアという新しい言葉を持ち上げることがマーケティングのマーケティングなのかも知れない。
でも、そのために「人」が不快な思いをしてしまったり、無駄に時間を費やすことになったらいけない。

そうならないための議論をしていきたいと思います。
そうならないためのアイデアや企画を生むことに時間を費やしたいと思います。

2010年2月12日金曜日

「Google Buzz」登場。いったい何に、どうやって使うのか…

今週発表された「Google Buzz」というGoogleの
Twitterライクなサービスが波紋を呼んでいます。





・主な機能
Gmailと統合された形で提供されている「Google Buzz」は
基本的にはTwitterのようにつぶやきを投稿していくサービスです。
また、チャットの、YouTube、Picasa、Flickrなど他のウェブサービスの
更新情報も自動的にフィード表示が可能です。

機能としてはfriendfeedのようなソーシャルプラットフォームといえます。
地図情報とも連動しており、iPhoneなどから投稿すると位置情報をもとに
Google Buzz MapにBuzzが表示されるようになります。


・Gmailと統合されている理由
実際にBuzzを使ってみると「オープンなチャット」といった印象です。
メールと統合されている理由は、おそらくBuzzがメールとチャットの
中間に位置するサービスだからではないかと思われます。
Buzzによって会話が可視化されるので、フォーラムのような使い方や
位置に基づいたTipsの集積が可能です。

この機能が社内用にあればかなり便利です。
Twitterのように文字制限はないので、議論や情報共有にはもってこいです。
その点、Waveは「作業」にフォーカスがあたっているので、
Buzzとは用途が異なります。
もしかすると、Google Appsを社内で導入している企業には
「使える」サービスかもしれません。


・問題点 -さっそくセキュリティ、プライバシーに関する議論が
Buzz発表後、多くの人がお試しをする中で、セキュリティや
プライバシーの問題があるのではないかという議論が起きています。

まず、Buzzを開始すると、よくメールやチャットをする人を自動的に
フォローします。そしてフォローしている人のリストは公開されます。

さらに、Buzzを開始するに当たってGoogleプロフィールに名前の登録が
必要なため、かなりの人が実名を登録しています。その情報も公開されています。
なお、ハンドルネームを登録すると、メールの差出人名が
ハンドルネームになってしまうようです。

iPhoneなどモバイルから投稿した場合、設定を変えないと
自動的に位置情報も投稿されてしまうため、居場所がわかってしまう、
ということもユーザーの間で懸念されています。


このように、リアルに連絡をとっている人との関係性や位置情報が
公開されてしまうことから、プライバシーや情報漏えいの可能性があり
リスキーであるという指摘がされており、Buzzの利用をやめる人が
出てきています。

*この問題についてはGoogleがブログで対策を説明しています。
Google バズ を快適にお使いいただくために



・所感
Buzzは企業向けのサービスとして有益なのではないかと考えます。

メールでもチャットでもない、リアルタイムかつ
オープンな会話が可能になるからです。

字数制限がなく、さまざまな種類の情報を
ビジュアルに扱えるという点でTwitterとも異なります。

しかし、現在はセキュリティの問題などがあるため、
仕組みを理解して利用することが重要です。


その「セキュリティの問題」に関しても一概に「問題である」
「間違っている」とは言い切れない、というのが私の意見です。

少なくとも使い方がわかっていれば対策ができますし、
メールを基軸にしたネットワークと、ソーシャルネットワークが
統合されることでビジネスにもメリットがもたらされるのではないでしょうか。

これは、Googleなりの「ソーシャル化」の解釈であり、
従来のソーシャルネットワーキングと一線を画すサービス
なのではないでしょうか。
言い換えれば、「ソーシャルネットワーク」の再定義です。

ソーシャル検索にも踏み出そうとしているGoogleがこれからどのような形で
ソーシャルネットワークに本腰を入れていくのか、ネット界の巨人から
目が離せません。



<ご参考>
・Google Buzz


・Google バズ プライバシー ポリシー


・Google バズ を快適にお使いいただくために



・「Google Buzz」はカジュアルな会話を楽しむ場、グーグル説明会 (INTERNET Watch)


・ソーシャルウェブテクノロジーに見る,Google Buzzの本当の意味 (gihyo.jp)


・「Google Buzz」で本名や居場所がばれる? ネットで騒動に(ITmedia)


・WARNING: Google Buzz Has A Huge Privacy Flaw(Business Insider)



Bookmark and Share

2010年2月5日金曜日

ソフトバンク決算説明会にみる、「予感」させるPR

2月2日に行われたソフトバンク決算説明会でTwitterによる実況や
Ustreamでのライブ中継が大きな話題となりました。

私も少しだけですがUstreamで説明会の様子を見てみましたが、
Twitterタイムラインの流れが異常に速く、6000人近い人が視聴していました。

また、孫社長自身もTwitterアカウントを持っており(@masason)、
同日発表したUstreamへの出資に関連してユーザーから表参道の
ソフトバンクショップにUstream用のスタジオを作って欲しい、
という要望がTwitter経由で寄せられ、「了解。作りましょう!!」と
答えるなどTwitterを活用したユーザーとのコミュニケーションや
即断即決の姿勢に多くの賛辞が送られていました。

なぜこれほどまでに企業の決算説明会が話題になったのかを考えてみると、
ユーザーに「何かある」と期待させる、予感させることに成功しており、
なおかつ本当に「何か」を実現させることができたからではないかと思います。

今回ニュースリリースはありませんでしたが、事前にソフトバンクの
Webサイトトップページに決算説明会をTwitterやUstreamを活用して配信する、
というバナーが出され、ITmediaなどメディアに取り上げられていました。
また、それより以前に孫社長のTwitter開始や社員全員がTwitterを使うよう
命じられるなど、何か変化がおきていることを感じさせていたのです。

PRの観点から見れば、話題が広がる土壌をあらかじめ整えておくことで、
メッセージを伝え、話題を広げることができるのです。

なお、株価をチェックしてみると、ソフトバンクの株価が2/2に上昇し、
2/3も高値から始まっていることがわかります。

Appleも「予感させる」ことがうまい企業ですが、いかにユーザーの期待感を
醸成し、なおかつその期待にこたえていくことができることを示すこと、
それがこれからの企業広報に求められることなのかもしれません。



<参考資料>

[ソフトバンク ニュースリリース]
Ustream, Inc.への出資について

[ITmedia]
孫社長「Ustreamスタジオ作る」 Twitterで即断

2010年1月30日土曜日

iPadの正体


iPadとは何なのか。まだ誰も知らない…


ついに発表されたAppleの新製品「iPad」。
「巨大なiPhone」、「キーボードのないタブレットPC」
といった見方がありますが、「iPad」とはいったい
何を目的とした製品なのでしょうか。


iPadはスペック的にも用途としてもiPhone以上、
ラップトップ未満のデバイスです。


また、新しい特長として「iBook」というコンテンツ配信の
仕組みが用意されていることがあげられます。
マシンの大きさや「iBook」の存在から「iPad」はkindleと
競合する製品といわれていますが、個人的にはそうでもないような
気がしています。

というのもKindleは目的が限定されている「趣味のマシン」であり、
その活用法は明らかです。
*「電子書籍を読む」という目的以外にKindleの使い方が思いつきません。


「iPad」はKindleと違って、多目的デバイスであり「iBook」は
その目的の一部でしかありません。

例えば「iPad」ではAppleのオフィススイート製品「iWork」が
利用できますし、フルサイズキーボードをつなげて使用することが
想定されています。


つまり「iPad」は電話でもパソコンでもPDAでもない、新しい領域の
デバイスなのです。いわばアニメなどで描かれる「未来の学校」の
授業に使われるようなデバイスなのです。

教材の他にも用途はビジネスであればオフィス外での
プレゼンテーションなど、かなりのことが可能です。


しかしながら、Appleのデモからはそういった目的を感じさせるものはなく、
「巨大なiPhone」かのごとく紹介されています。あえてそうしているのか
疑問ですが、「何に使うのかわからない…」という反応が多いように感じられます。

これから「iPad」はどのような展開を見せるのか、楽しみにしたいところ
ですが私は買うつもりはございません。
(それよりもっと高スペックのiPhoneに替えたい)


<ご参考>
Apple iPad


[CNET Japan]
「iPad」をめぐるあれこれ--アップル特別イベントの発表内容を総括


[AFPBB]
Appleのタブレット型コンピューター「iPad」

2010年1月9日土曜日

次の10年のための10のこと

この年始は2010年の始まりであると同時に2010年代という
新たなDecadeの始まりでもあります。
ちょうど年明けにU2のボーカルであり、社会活動家としても有名な
ボノがNew York Timesに「次の10年のための10のこと」という
記事を寄稿し、向こう10年を展望しています。

[New York Times]
Ten for the Next Ten


特に私が関心を持ったものとして、次の10年は…
・アフリカでワールドカップが開催され、アフリカの10年となる。
・市民が携帯電話やWebによって権力を持つことで、
政治のヒエラルキーは現在の三角形型から逆三角形型になる。

他にも血管形成とガン治療の話や量子テレポーテーションの話、
「汚染権」(環境汚染のマネタイズ)の話題などなど、
社会貢献活動のリーダーとしてのボノの広い知見から、
興味深いトピックが紹介されています。


これからの10年間に世界ではどのようなことが起こるのか。
それを想像してみることも先を見越して戦略を考える上で
役立つのではないでしょうか。

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